原状回復のガイドラインについてわかりやすく解説
今回は賃貸オーナーが知っておくべき原状回復のガイドラインについて解説していきます。
そもそもなぜ原状回復のガイドラインができたのか?
昔は入居者とオーナーとの間で退去時の費用負担についての明確なルールがなく、トラブルが多発したからです。
そこで、平成10年に初めて「原状回復のガイドライン」ができました。
その後、ガイドラインも少しずつ改定され、2020年4月には、遂に原状回復のガイドラインが民法に明文化されました。
原状回復ガイドラインの大前提の考え方
① 経年劣化・通常使用 ⇒ オーナー負担
② 故意過失・善管注意義務違反 ⇒ 入居者負担
※入居者が合意していることが前提にはなりますが、①経年劣化・通常使用であっても「特約」によって入居者負担とすることができます。
(但し、抽象的な書き方やあまりにも入居者に不利な内容などは、無効となる場合がありますので、契約書に明記する際は、事前にリーガルチェックを入れることをオススメします)
【経年劣化・通常使用の具体例】
・家具の設置による床のへこみ
・冷蔵庫後部のクロス汚れ
・日焼けなどによるクロスの変色
・ポスター掲示等のためのが画鋲の穴
【故意過失・善管注意義務違反の具体例】
・タバコのヤニ汚れによるクロスの張替
・ペットによる傷や臭い
・イスなどを引いたときについたフローリングの傷
・ビスや釘の使用により、下地のボード補修が必要な破損
・結露を放置したことでついたカビやシミ
負担割合の考え方
クロス・CF・カーペットについては、経過年数を考慮します。
具体的には、新品の状態を100%として、6年で価値が1円になると考えます。
図で表すと以下のようなグラフになります。
例えば、入居年数3年でタバコのヤニ汚れが原因で入居時は新品だったクロスの張替が必要となった場合の負担割合は以下のようになります。
【負担割合】
入居者負担 : オーナー負担 = 50% : 50%
トラブルが起きないようにするには?
つい退去時にフォーカスしがちですが、実はトラブルの原因の多くは、契約時に問題があります。賃貸借契約書及び重要事項説明書に退去時の費用負担の取決めを明記し、契約前に入居者に説明することで、退去時に双方の認識の違いが起き辛く、トラブルを未然に防止することができます。
まとめ
実際のガイドラインはもう少し細かく(わかり辛く)書かれていますが、今回ご紹介した内容さえ押さえておけば、あとは実践で経験を積むだけです。今回は主に費用負担の考え方について解説しましたが、合わせて次の入居者ができるだけ早く決まり、物件価値ができるだけ下がらないような費用対効果のよいリフォームをすることが大切です。費用はあまり変わらずとも床やクロスのデザインを上手く選ぶことによって、付加価値を付けることもできますし、ニーズに合わせた設備のリニューアルも重要です。
このように不動産投資は、学ぶことでリスクを下げるができますし、そこが不動産投資のおもしろいところでもあります。