10son’s diary

不動産コンサルタント 兼 不動産投資家として活動中。 戸建2戸と区分マンション1戸を保有しています。不動産投資のノウハウなど体験談を踏まえてお届けしています。

【不動産投資】火災保険の選び方

今回は賃貸オーナー向け火災保険の選び方について解説します。不動産投資家の方でも意外と火災保険の内容を理解されていない方も多く、保険会社や代理店任せで不要な特約に入っているケースがあります。まずは、保険商品の内容や特徴を理解し、ご自身の物件に合わせた保険に加入されることをお勧めします。

【火災保険の全体像】

6つの基本項目 + 地震保険 + オプション特約

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<プランの選び方>

・「基本項目」は表の5つのプランから選びます。

・「地震保険」は基本項目とセットで付けることができます。

・「オプション特約」は必要なものだけ付けます。

 

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【6つの基本項目】

①火災、落雷、破裂、爆発

②風災、雹災、雪災

③水ぬれ

④盗難

⑤水災

⑥破損、破裂等

 

【6つの基本項目(解説)】

①火災、落雷、破裂、爆発

火災保険の代表である火災時に保険金が支払われる項目です。また、意外と使えるのが、「落雷」です。具体例としては、雷によってエアコンなどの電気設備が故障した場合などです。

 

②風災、雹災、雪災

建物の事故件数の割合としては、自然災害に関する事故が最も多く、「風災、雹災、雪災、水災」の割合は68.4%と半分以上を占めています。中でも「風災」は非常に多いです。具体例としては、台風などの強風でガラスが割れてしまった場合や、雨樋の破損などです。毎年台風が来ますし、地域によっては、毎年雪も降りますので、必ず入っておきましょう。

 

③水ぬれ

具体例としては、給水管の破損などにより、天井や壁紙などが汚れてしまった場合です。ポイントとしては、「突発性のある事故」であることです。「経年劣化した部分」については、保険がおりませんので、ご注意ください。

 

④盗難

泥棒が家に侵入した際にガラスを割る等、建物に損害が発生してしまった場合などです。

 

⑤水災

河川の氾濫などにより「水に浸水した場合」の補償です。水害ハザードマップで浸水規模が確認できるので、そちらを参考に検討してみてください。

 

⑥破損、破裂等

具体例としては、「外壁に車をぶつけられて凹んでしまった」というような場合です。その他、敷地内にフェンスや外灯など付属物があると、使える機会が多いです。また、凍結による水道管破裂もこちらの内容で補償できます。

 

 

地震保険

地震による火災や損壊、噴火による埋没、津波による流失などに対応した保険です。補償金額は主契約で加入している火災保険の保険金額の30~50%の範囲で設定できます。また、建物の損害については、5,000万円が上限で、家財の損害については、1,000万円が上限となります。

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【オプション特約】

①事故時諸費用特約

②特定機械設備水災補償特約

③居住用建物電気的・機械的事故特約

④類焼損害・失火見舞費用特約

⑤日常生活賠償特約

⑥受託物賠償特約

⑦弁護士費用特約

⑧自宅外家財特約

⑨家財明記物件特約

⑩屋外明記物件特約

⑪借家賠償・修理費用特約

⑫家賃収入特約

⑬家主費用特約

⑭賃貸建物所有者賠償特約

⑮マンション居住者包括賠償特約

 

【オプション特約(解説)】

<重要度>

★★★・・・高い

★★・・・普通

★・・・低い

 

①事故時諸費用特約(オススメ度:★★★)

損害保険金が支払われる場合に、損害保険金にプラスして20%(もしくは10%)上乗せで支払われる特約です。

※支払限度額:300万円

<コメント>

個人的にはかなりオススメの特約です。例えば、100万円の損害保険金が支払われる場合、20万円が上乗せされ、保険金合計額は120万円となります。

(※事故時諸費用特約:20%の場合)

 

②特定機械設備水災補償特約(オススメ度:★)

台風・豪雨等による洪水などにより、電気設備やガス設備等の機械設備に損害が発生し、床下浸水等で基本補償における浸水条件を満たさない場合に、1回の事故に付き1敷地内ごとに最大100万円まで補償します。

<コメント>

10年以上、不動産管理の仕事に携わっておりますが、使えるケースはありませんでした。上限額も100万円と低いので、個人的には不要です。

 

③居住用建物電気的・機械的事故特約(オススメ度:★)

電気設備やガス設備等の機械設備に、電気により発生した焦損・炭化・絶縁破壊等の物的損害を伴う事故や、機械の稼働により発生した亀裂・折損・変形・剥離等の物的損害を伴う事故が発生した場合に、1回の事故につき建物保険金額を限度に補償します。

<コメント>

使えるケースがかなり限定されていて、個人的には不要かと思います。

また、落雷による電気設備の事故であれば、基本プランの「落雷」で対応できます。

 

④類焼損害・失火見舞費用特約(オススメ度:★)

【類焼損害】

自宅の火災、破裂・爆発事故によって、近隣の建物や収容動産に発生した損害を、1回の事故につき最大1億円まで補償します。

【失火見舞費用】

自宅の火災、破裂・爆発事故によって、近隣の建物や収容動産に損害が発生したために支出した見舞金等の費用を補償します。

<コメント>

個人的には不要です。理由としては、火元の人は「失火責任法」という日本の法律によって守られており、隣の家などに燃え移っても放火などでもない限り、火元の人が責任を問われることはないからです。

 

⑤日常生活賠償特約(オススメ度:★)

日常生活における偶然の事故などの補償です。

<コメント>

賃貸オーナー向けの保険ではないので、個人的には不要です。もし入りたいという方はいろんな保険でつけることができますので、どれか1つだけこちらの特約をつけておくといいと思います。

 

⑥受託物賠償特約(オススメ度:★)

日本国内において、他人から預かったものやレンタル品等の受託物を損壊、紛失させたことまたは盗難にあったことにより、法律上の損害賠償責任を負った場合の損害を補償します。

<コメント>

賃貸オーナー向けの保険ではないので、個人的には不要です。

 

⑦弁護士費用特約(オススメ度:★)

【弁護士費用等】

日本国内における偶然な事故によって、ケガをしたり、自宅や家財が損害を受け、損害賠償請求を弁護士等に委任したときの費用等を、1回の事故につき被保険者1名ごとに最大300万円まで補償します。

【法律相談費用】

日本国内における偶然な事故によって、ケガをしたり、自宅や家財が損害を受けた場合の弁護士等への法律相談費用を、1回の事故につき被保険者1名ごとに最大10万円まで補償します。

<コメント>

顧問弁護士や法律関係の相談ができる不動産会社等のパートナーがいる場合は不要です。

 

⑧自宅外家財特約(オススメ度:★)

選択されたご契約プランで補償される事故によって、日本国内外で携行中の家財や、 家賃の損失をご契約時に定めた期間を限度に補償します。日本国内の別荘等に収容する家財に発生した損害を補償します。

<コメント>

賃貸オーナー向けの保険ではないので、個人的には不要です。

 

⑨家財明記物件特約(オススメ度:★)

選択されたご契約プランで補償される事故によって、貴金属等(注)に損害が発生した場合に、特約保険金額(盗難および破損、汚損等は1個または1組ごとに100万円が限度)を限度に補償します。

<コメント>

賃貸オーナー向けの保険ではないので、個人的には不要です。

 

⑩屋外明記物件特約(オススメ度:★)

選択されたご契約プランで補償される事故によって、屋外明記物件(注)に損害が発生した場合に1回の事故につき特約保険金額を限度に補償します。

<コメント>

賃貸オーナー向けの保険ではないので、個人的には不要です。

 

⑪借家賠償・修理費用特約(オススメ度:★)

【借家賠償】

偶然な事故により、借用住宅に損害を与えたことによる貸主に対して法律上の損害賠償責任を負った場合の損害を1回の事故につき、特約保険金額を限度に補償します。

【修理費用】

偶然な事故により、借用住宅に損害が発生し、貸主との契約に基づきまたは緊急的に被保険者が自己の費用で修理した場合の修理費用を、1回の事故につき最大300万円まで補償します。

<コメント>

こちらは入居者向けの内容になります。

 

⑫家賃収入特約(オススメ度:★★)

選択されたご契約プランで補償される事故によって、建物が損害を受けた結果発生数家賃の損失をご契約に定めた期間限度に補償します。

※家賃収入特約の保険金額 = 家賃月額 × 約定復旧期間の月数

<コメント>

「家賃収入特約」を付けることで、次に紹介する「家主費用特約」を付けることができます。高齢者や単身向け住宅については、孤独死リスクが高まりますので、そういった物件に「家主費用特約」とセットでお付けすることをお勧めします。

 

⑬家主費用特約

賃貸住宅(注)内で死亡事故(自殺、犯罪死または賃貸住宅の物的損害を伴う孤独死)が発生し、死亡事故発見日から90日以内に賃貸住宅が空室となり、30日以上続く空室期間または空室期間の短縮のために家賃を値引きしたことによる値引期間の家賃損失を補償します。また、修復・清掃・脱臭費用等の原状回復のための費用や遺品整理費用等についても100万円を限度に補償します。

(注)保険の対象である建物のうち、居住者が賃借する戸室(専用使用部分を含みます)をいい、共用部分は含みません。

<コメント>

高齢化が進む日本において、高齢者をターゲットとした賃貸物件は自然と増えていきます。室内でお亡くなりになられた場合、遺品整理や原状回復費用が高額になるケースがありますので、孤独死リスクのある物件については、お勧めの特約です。

 

⑭賃貸建物所有者賠償特約(オススメ度:★★★)

保険の対象となる建物や建物の使用・管理業務が原因で他人に損害を与えた場合に補償する特約です。

<コメント>

賃貸オーナーは必ずと言っていいほど入っておいた方がいい特約です。例えばエレベーターの人身事故や屋根が落下して、入居者の車に被害が及んだ場合など、起こりうる高額な損害を補償できる特約になります。

 

⑮マンション居住者包括賠償特約(オススメ度:★)

居住用戸室での漏水等の賠償事故または日常生活における賠償事故による損害または日本国内において、電車等の損壊を伴わない運行不能について法律上の損害賠償責任を負った場合の損害を1回の事故につき特約保険金額を限度に補償します。共同住宅の居住者等を無記名で包括的に補償する特約です。

<コメント>

賃貸オーナー向けの保険ではないので、個人的には不要です。

個人賠償保険を入居者全員に付けるようなイメージで、どちらかというとマンションの管理組合向けの内容です。

 

【まとめ】

火災保険は6つの基本項目+地震保険+オプション特約で構成されています。

まずは、火災保険の内容を理解し、どういった場合に使えるのかを押さえておきましょう。

本来、保険で対応できる内容なのに、知らずに「全額自己負担してしまった」というケースはかなり多いです。まさに「宝の持ち腐れ」です。また、「不安だからなんとなく入っておこう」という思考から不要な特約に入っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

物件に合わせて最適な保険選びをすることで、無駄なコストを払わなくて済みますので、今回の内容を参考に是非ご自身の火災保険を見直してみてはいかがでしょうか?