10son’s diary

不動産コンサルタント 兼 不動産投資家として活動中。 戸建2戸と区分マンション1戸を保有しています。不動産投資のノウハウなど体験談を踏まえてお届けしています。

不動産価格の査定方法

不動産がいくらで売れるのかを知りたいときは、不動産会社へ査定依頼をするのが一般的です。今回は不動産会社がどのように不動産の査定を行っているかについて解説していきます。

 

【不動産査定の3つの方法】

①取引事例比較法

②原価法

③収益還元法

不動産の査定には、主に3つの方法があります。

 

①取引事例比較法

取引事例比較法は、類似物件の成約事例を収集し、土地の形状、道路幅、方角、生活環境などの個別的要因を比較考慮しながら価格を査定する方法です。

 

②原価法

原価法は、同じ不動産をもう一度建築や造成したらいくら必要なのかという観点で査定する方法で、主に土地や戸建の査定に用いられます。土地と建物それぞれで算出しますが、建物については経過年数に応じて価値の減価分を考慮します。因みに原価法による査定価格を「積算価格」と呼びます。

式に表すと以下の通りです。

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③収益還元法

収益還元法は、賃貸用不動産などが将来生み出すと期待される収益から価格を割り出す方法です。収益還元法には「直接還元法」と「DCF法」の2種類があります。

 

・直接還元法

直接還元法とは、1年間の純収益を還元利回り(キャップレート)で割り戻して算出する方法です。

ex)年間家賃収入:400万円、経費:20%、還元利回り:8%とした場合

純収益:400万円 -(400万円 × 20%)= 320万円

不動産価格:320万円 ÷ 8% = 4,000万円

 

・DCF法

DCF法とは、ディスカウントキャッシュフロー法の略であり、将来的に得られる利益と売却時の予想価格を現在の価格に割り引き、その合計額を不動産価格とする方法です。

「現在の価格に割り引く」というのが、イメージしにくいかもしれませんが、同じ100万円でも現在の100万円と5年後の100万円では、現在の100万円の方が価値が高いとされています。理由としては、現在の100万円は投資などで運用することで、さらに増える可能性がありますし、インフレによって、現金の価値が下がる可能性があるからです。

 

ex)年間の収益:100万円、5年後の売却額:1,000万円、割引率:3%とした場合

1年目の収益は現在の価値に割り引くと

100万円 ÷ (1+3%)≒ 97万円

2年目の収益は現在の価値に割り引くと

100万円 ÷ (1+3% )2 ≒ 94万円

3年目の収益は現在の価値に割り引くと

100万円 ÷ (1+3% )3 ≒ 91万円

4年目の収益は現在の価値に割り引くと

100万円 ÷ (1+3% )4 ≒ 89万円

5年目の収益は現在の価値に割り引くと

100万円 ÷ (1+3% )5 ≒ 86万円

となります。 

 

同様に5年後の売却額の1,000万円を現在価値に割り引くと

1,000万円 ÷(1+3%)5 ≒ 860万円

となります。 

 

よって、この不動産価格は、

97万円 + 94万円 + 91万円 + 89万円 + 86万円 + 860万円 ≒ 1,320万円

となります。割引率を考えずに計算すると1,500万円なので、10%以上の差が生じることになります。実際に計算する際には固定資産税の上昇率や修繕費の発生するタイミングなども考慮に入れる必要があります。

 

まとめ

対象物件や目的によってこれら3つの査定方法を使い分ける必要があります。

例えば、土地や戸建などは、「取引事例比較法」や「原価法」で算出し、収益物件については、「収益還元法」で算出するのが一般的です。不動産は全く同じものがなく、不動産会社によっても価格に差が出る場合があります。不動産会社の査定方法が必ずしも正しいとは限りませんので、査定額が妥当な金額かを判断するためにもご自身で査定方法や相場を把握しておくことが大切です。