10son’s diary

不動産コンサルタント 兼 不動産投資家として活動中。 戸建2戸と区分マンション1戸を保有しています。不動産投資のノウハウなど体験談を踏まえてお届けしています。

【不動産投資】絶対に知っておきたい7つの指標

前回はキャッシュフローツリーについて解説しましたが、今回はその応用編です。不動産投資は一般的にミドルリスク・ミドルリターンと言われていますが、今回解説する7つの指標をマスターすれば、ローリスク・ミドルリターンに変えることができます。

 

■Case

物件価格:5,000万円(満室想定年間賃料:500万円)

諸経費:400万円

自己資金:1,000万円

借入:4,000万円(借入期間:20年、金利:2%)

空室率:10%

運営費:20%

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①LTV(Loan To Value = 借入金割合)

物件価格に対する借入金の割合。

LTV = 借入金 ÷ 物件価格

 

②K%(Loan Constant = ローン定数)

ADS(年間返済額)のローン残高に対する割合。

K%はコストですので、低いほど有利な融資が獲得できているということ。K%を下げるためには「融資期間を延ばす」「金利を下げる」のどちらかを行う。

K% = ADS(年間返済額) ÷ LB(ローン残高)

 

③FCR(Free and Clear Return = 総収益率)

NOIを物件価格や諸費用など物件を購入するために費やした金額で割った数値。総コストに対して物件がどれだけの収益を生んでいるかを示す指標。つまり「真の利回り」です。

FCR = NOI ÷ 総投資額(物件価格 + 諸費用)

 

CCR(Cash on Cash Return = 自己資本配当率)

BTCF(税引前キャッシュフロー)を自己資金で割ることで算出。自己資金に対してどれだけのリターンがあるのかがわかる。

CCR = BTCF(税引前キャッシュフロー)÷ 自己資金

 

⑤PB(Pay Back = 自己資本回収期間)

投資した自己資金を何年で回収できるか?

PB = 自己資金 ÷ BTCF

 

⑥DCR(Debt Coverage Ratio = 借入償還余裕率)

投資の安全性を測る指標でNOI(営業純利益)をADS(年間返済額)で割ったもの。ローン返済の何倍の収入があるかを算出し、大きければ大きいほどリスクが低く、小さければ小さいほどリスクが高くなる。DCRは1.3以上が理想的。

 

⑦BER(Break Even Ratio = 損益分岐入居率)

OPEX(運営費)とADS(年間返済額)の合計額のGPI(総潜在収入)に対する比率で、各年度のOPEXとADSの合計額をカバーするためにには空室率がどれくらいまで許容できるかを判断するための指標。70%以下が理想的(エリアによる)

 

以上が「絶対に知っておきたい7つの指標」になります。

特に重要なのは「FCR」と「DCR」です。

表面利回りで判断するのではなく、FCRで判断することで、その物件の本当の収益性を知ることができます。また、借入によって物件を購入する際は、DCRで判断することで、投資の安全性を測ることができます。

 

ここからは、更に上級編となります。

 

レバレッジ効果

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K%とFCRを比較することによってレバレッジ効果が働いているどうかの判断ができる。K%よりもFCRの数値が大きければ、レバレッジが効いているということ。

CCR > FCR > K%

 

②イールドギャップ

投資の実質利回りと融資の金利との差です。イールドギャップがプラスであれば、収益がプラスであることを表している。一般的に1.5以上のイールドギャップが確保できると理想的。

YG = FCR - K%

③キャップレート(Capitalization Rate = 総合還元利回り)

キャップレートとは、不動産の収益性を表した利率のことで、不動産価格を算出するときに使う。エリアや築年数などを考慮して導き出される。

CapRate = NOI ÷ CapRate ⇒ 物件価格 = NOI ÷ CapRate

 

まとめ

不動産投資は事前のシミュレーションによって、成功する投資なのか失敗する投資なのかが予測できます。まずは、不動産投資の基本となるキャッシュフローツリーを算出し、そこから7つの指標を導き出してみましょう。不動産業者に進められるがままに購入するのではなく、投資家自身で判断できるようになることが、不動産投資成功の鍵となります。