10son’s diary

不動産コンサルタント 兼 不動産投資家として活動中。 戸建2戸と区分マンション1戸を保有しています。不動産投資のノウハウなど体験談を踏まえてお届けしています。

「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が全面施行されます!

今回は、2021年6月15日に全面施行される「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(以下新法という)」のポイントについて解説していきます。

今回の新法ですが、実は昨年の6月にできた法律で、その年の12月にサブリース部分が先行して施行されました。

時系列で表すと以下の通りです。

 

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今回の新法の全面施行は、業界にもかなり大きな影響を与えるもので、個人的に良い方向に動いていくのではないかと思っています。今まで賃貸の仲介業については、「宅建業法」という法律により、ルールが明確化されていましたが、管理業については、規制されるものがなく、契約の取り交わしなども割と自由に行われていました。よって、今回の新法施行により、管理業にも明確なルールができることで、業務の質の向上が期待できます。また、業界としての信頼度も上がることが予想されます。

 

新法全面施行で押さえておきたい6つのポイント

国土交通大臣への登録

②業務管理者の配置

③重要事項説明

④契約締結時の書面交付

⑤財産の分別管理

⑥オーナーへの定期報告

 

国土交通大臣への登録

今までは、賃貸管理業者は任意の登録制度がありましたが、今後、管理戸数200戸以上の賃貸管理業者に関しては、国土交通大臣への登録が義務化されます。

 

②業務管理者の配置

業務管理者とは、簡単にいうと資格者のことで「賃貸不動産経営管理士」を賃貸管理業を行う事業所ごとに1名以上設置しなければなりません。

因みに宅建業の場合は、事業所ごとに5人に1人「宅地建物取引士」を設置しなければいけません。

 

③重要事項説明

今まで賃貸仲介では、借主に対して重要事項説明を行っていましたが、今回の新法は管理受託契約を締結する際に、賃貸オーナーに対して重要事項説明を行わなくてはいけないというものです。尚、重要事項の書面については、日管協など各社で雛形を公開していますので、そちらを参考にされることをおすすめします。

 

④契約締結時の書面交付

こちらも今まで書面の交付までは義務化されていませんでしたが、新法施行により、契約書の交付が義務化されます。こちらも日管協など各社で雛形を公開していますので、そちらを参考にされることをおすすめします。

 

⑤財産の分別管理

「管理会社の財産」と「入居者から受領する家賃等」の金銭を、最低限2つの口座に分けて分別管理しなければなりません。

 

⑥オーナーへの定期報告

オーナーへの定期報告が義務化されます。頻度としては、「年1回以上」となります。

尚、報告しなければいけない事項としては以下の3つの内容です。

(1)報告の対象となる期間

(2)管理業務の実施状況

(3)管理業務の対象となる賃貸住宅の入居者からの苦情の発生状況及び対応状況

 

まとめ

今回の新法施行に伴う実務上の大きな変更点としましては、「賃貸不動産経営管理士の設置」と「重要事項説明」及び「契約書の交付」の部分かと思います。多くの賃貸管理会社が今回の新法に合わせてこれらの書面の作成及び修正を行わなければいけないのではないでしょうか。但し、その他の事項については、実務上は従来から行っている管理会社がほとんどかと思いますので、ルールが明確化されたことで、賃貸オーナー、管理会社双方にとってトラブルの未然防止にも繋がることかと思います。