10son’s diary

不動産コンサルタント 兼 不動産投資家として活動中。 戸建2戸と区分マンション1戸を保有しています。不動産投資のノウハウなど体験談を踏まえてお届けしています。

【不動産投資】知らないとマズい!BMの基礎知識

不動産投資を行う上で「守り」の部分にはなりますが、BM(ビルメンテナンス)について解説していきます。

今回の内容は、アパートやマンションのオーナーや管理会社向けの内容となっています。

 

そもそもなぜBMが必要なのか?

 

BMが必要な主な2つの理由

①入居者の安心・安全

コンプライアンス法令遵守

 

①入居者の安心・安全

1番の理由はなんといっても「入居者の安心・安全」です。以前の話にはなりますが、東京の港区のマンションでエレベーターが故障し、高校生が挟まれて死亡するという事故がありました。また、最近では、八王子で賃貸アパートの外階段の一部が崩落し、住人の女性が転落死するという恐ろしい事故がありました。こういった事故が起きないように、建築時の確認は勿論ですが、定期的なメンテナンスを行うことが非常に重要です。

 

コンプライアンス法令遵守

建物規模や付属設備に応じて、法律での点検義務が定められていますので、それらに違反すると、損害賠償や刑事罰の対象にもなります。よって物件オーナーや建物管理会社は正しい知識をもって適正な建物の管理を行わなければいけません。

 

 

BMの種類と内容について

 

定期清掃

アパートやマンションの共用部の清掃は放っておくと、当然に汚れていきますので、定期的に清掃を入れることが大切です。また、物件を綺麗に保つことで、入居者の満足度向上や案内時の印象アップにも繋がりますので、入居率アップやびテナントリテンションが期待できます。物件にもよりますが、定期清掃の頻度の目安としては月2~4回を推奨しています。

 

高圧洗浄

先程の定期清掃では落ちないよう汚れをやコケなどは高圧洗浄がおすすめです。高圧洗浄の頻度しては、年1回を推奨しています。

 

消防設備点検

消防設備点検には、大きく分けて2つの定期点検があります。

 

①機器点検(6ヶ月に1回以上)

消防用設備などの種類に応じて、設備が適切な場所に置かれているか、損傷がないか、問題なく使えるかなど、一定の基準に従って外観もしくは簡易な操作により確認する点検です。機器点検は、6ヶ月に1回以上の点検が義務化されています。

 

②総合点検(1年に1回以上)

消防用設備などの全部または一部を実際に作動させ、総合的な機能を告示に定められている基準に従って確認する点検です。総合点検は、1年に1回以上の点検が義務化されています。

 

※アパートやマンションの場合は3年に1回、管轄消防長への報告書の提出が義務化されています。

 

貯水槽点検・清掃

貯水槽の点検・清掃については、貯水槽の規模によってルールが異なります。

 

①貯水槽の容量が10㎥超の場合

年に1回以上点検・清掃の実施が義務化されています。水道水が入居者にとって安全かを判断するため、法令で定められた11項目の水質検査を行います。

 

②貯水槽の容量が10㎥以下の場合

法的義務はありませんが、年に1回以上点検・清掃を行うことを推奨しています。また、各自治体の条例で管理基準が定められている場合がありますので、事前に確認しておきましょう。

 

浄化槽の点検・清掃

浄化槽には保守点検・法定検査・清掃の3つの義務があります。

 

①保守点検

浄化槽の中の微生物に酸素を供給するブロワー等は休みなく連続運転されますので、故障等が発生しないように定期的な点検が必要となります。

浄化槽の機種、大きさ等により、点検回数が「環境省関係浄化槽法施行規則」により定められています。

 

②法定検査

年に1回の受検が義務付けられている定期検査で、各自治体の指定期間が行います。

内容としては、浄化槽が正常に機能しているか、また、日頃の保守点検や清掃が適正に行われているかを検査します。

 

③浄化槽清掃

必要な清掃回数は浄化槽法及び環境省令で定められており、全ばっ気方式の浄化槽では6ヶ月に1回以上、それ以外の浄化槽では1年に1回以上の清掃が義務化されています。

 

エレベーター点検

エレベーターの点検は、大きく分けて保守点検と定期検査の2種類があります。

 

①定期検査

定期検査は、1年に1回以上の実施が義務付けられており、「エレベーターが国土交通大臣が定める基準に適合しているかどうか」を調べます。

 

②保守点検

保守点検は法律上義務付けられてはいませんが、国土交通省より使用頻度に応じて定期的な保守点検を行うよう推奨されています。頻度としては、1~3ヶ月ごとが目安で、最近では現地に行かず、遠隔監視などを行うケースも増えてきています。

 

 また、エレベーターのメンテナンス契約には「POG契約」と「フルメンテナンス契約」の2種類があります。

 

【POG契約】

POGは、Parts(パーツ)、Oil(オイル)、Grease(グリス)の略で消耗部品の交換、オイルの補給、潤滑剤の塗布などを意味しています。定期的な点検、消耗品の交換は、月々の定額料金の中に含まれていますが、部品の修理や取替が必要となった場合は、別途費用が掛かることになります。

 

【フルメンテナンス契約】

フルメンテナンス契約は、月々の定額料金の中に、消耗品だけでなく、劣化した部品の修理や取替の費用も含まれています。よって、POG契約と比較すると、料金が高く設定されています。但し、エレベーターに関する全てが月々の定額料金んい含まれているわけではなく、昇降かご、扉の取替などは別途費用が掛かることになります。

 

まとめ

以上が、アパートやマンションにおけるBMの基礎知識となります。

点検や清掃等については、専門業者へ依頼することになりますので、信頼できる業者選びが重要になります。また、必要な点検や清掃の実施を怠ってしまうと、仮に知らなかったとしても法律違反は免れず、損害賠償や刑事罰の対象にもなりますので、物件を購入する際は、事前に確認しておきましょう。何よりも入居者の人命に関わることもありますので、正しい知識を身に付け、適正なメンテナンスを実施していきましょう。